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Q&A

2025.10.09

自転車の規制強化にどう備える?社内ルール作成の要点

自転車の規制強化にどう備える?社内ルール作成の要点

自転車を業務で使う際の法的リスクと実務対応

近年、自転車運転に対する規制が強化され、自転車を使う業務がある会社を経営されている方にとっては、法令順守と安全を両立するために会社として、業務上の自転車使用に対して適切なリスク管理を講じておく必要があります。

 

経営者の方に向けて、今回は、自転車を業務で使う際の法的リスクと実務対応をQ&A形式で解説します。

Q:なぜ「いま」体制づくりが必要なのか、どのような規制を踏まえればよいのでしょうか?

A:近年では、自転車の安全に関するルールが見直されています。

たとえば、走行中に携帯電話を手に持って通話したり画面を注視したりする行為は原則として認められず、設定や確認は停止してから行うことが求められます。また、必要な音や声が聞こえない状態での運転は違反となり得るため、イヤホンの利用は慎重な取り扱いが必要です。ヘルメットは全国で着用の努力義務が設けられています。また、事故が起きた場合には、救護と警察への報告が求められます。

 

さらに、2026年4月からは自転車の交通違反に関する反則切符が導入されることも決まり、業務で自転車を使う会社では、このような規制に対して、あらかじめ対応を考えておくことが望ましいといえます。

このような規制の動きを踏まえると、走行中の携帯操作は行わないこと、携帯などの端末は車体に固定し確認は停止時のみとすること、イヤホンは使わないことなどを社内ルールに明記しておくと運用しやすくなります。あわせて、車体やヘルメットなどの点検方法、事故時の初動の手順や連絡先を整理するなど、まずは基準を整理し、社内で共有するところから始めましょう。

 

Q:業務中の自転車事故、会社の責任は?

A:原則として、従業員が業務の範囲内で第三者に損害を与えた場合、被害者は会社に賠償を求めることが一般的です。

会社の使用者責任が問われるかが問題になった場合には、会社と使用関係のある従業員が第三者に対して損害を与えたか(不法行為)、その不法行為が会社の指揮監督下である業務中に行われたか、会社側に管理上の落ち度がなかったかといった点が判断されます。

 

なお、会社が被害者に賠償した場合、会社から従業員に求償できる余地はありますが、全額の負担を求めるというのは難しく、事情に応じた相当限度で考慮されるのが通常です。そのため、社内ルールの明文化(走行中の携帯操作禁止・停止時確認・端末固定など)、教育の実施、車体・装備の点検記録、そして賠償リスクをカバーする保険の整備をあわせて進めておくと、もしもの時のリスクを抑えやすくなります。

 

Q:規制への対応はどうするべきか?

A:支店があるなど営業拠点が複数ある場合には、まず拠点ごとのルールを確認しましょう。

もし、確認したルールに地域差がある場合には、最も厳しいルールに合わせて会社全体の基準を定めると、やむを得ず例外的なルールを設けた場合でも運用しやすいでしょう。

次に、就業規則に規制対応における基本方針を定め、別途、社内ルールとして、走行中のスマホ操作は禁止、イヤホン使用の原則禁止、事故時の連絡先や報告手順など、具体的に作成しましょう。そして、作成した社内ルールを周知するために、新入社員教育や定期的な社内研修などで従業員教育を実施しましょう。また、拠点のある地域の条例が改正された場合に備え、それぞれの拠点で責任者を決め、適法な運用ができるよう備えることも大切です。

 

Q:保険はどうするべきか?

A:現状、多くの都道府県で、自転車損害賠償責任保険への加入が義務化されています。

そのため、「業務中の自転車事故も個人の保険で対応できるだろう」と考えられている方が多いです。しかし、個人向けの自転車保険では、業務中の賠償事故は補償されません。また、社用車を対象とする損害保険に特約で自転車保険が付いていることがありますが、その場合にも補償の対象や内容については十分に確認しておくべきです。

 

まとめ

業務で自転車を安心して活用するためには、全社の方針と運用基準を明確にし、従業員教育と定期点検を日常の業務として定着させることが大切です。あわせて、事故が起きた際の初動の手順や連絡先、記録の残し方までを社内規程に整理しておくことで、対応のばらつきを抑え、被害の拡大を最小限にとどめることができます。

 

虎ノ門法律経済事務所では経営者の皆様からのこのようなご相談も随時受け付けております。

お気軽にご相談ください。

 

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