2026.05.26
2026年4月、高年齢労働者の労災防止が努力義務化へ

1. 高年齢者の労働災害防止対策
近年、高年齢者(60歳以上)の雇用は増加傾向にあります。これに伴い、高年齢労働者の労災も増え、けが等での休業が4日以上の死傷者数の多くは高年齢労働者が占めています。
このような背景により、2026年4月1日からは、高年齢労働者の労災防止措置が努力義務化されます。
労働安全衛生法
第六十二条の二 事業者は、高年齢者の労働災害の防止を図るため、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
3 厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導、援助等を行うことができる。
2. 企業がとるべき対策
それでは、どのような対策が必要なのでしょうか。
厚生労働省の「エイジフレンドリーガイドライン」によれば、次の5つの対策を講ずるよう努める必要があります。
(1) 安全衛生管理体制の確立
・経営トップによる方針表明と体制整備
・高年齢労働者の労働災害防止のため危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
(2) 職場環境の改善
・身体機能の低下を補う設備・装置の導入(主にハード面の対策)
・高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(主にソフト面の対策)
(3) 高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
・健康状況の把握
・体力の状況の把握
(4) 高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
・個々の高年齢労働者の健康や体力の状況を踏まえた措置
・高齢労働者の状況に応じた業務の提供
・心身両面にわたる健康保持増進措置
(5) 安全衛生教育
・高年齢労働者、管理監督者等に対する教育
・管理監督者等に対する教育

3. まとめ
高年齢者は体力の低下から怪我をしやすく、怪我の部位や程度にもよりますが、3か月以上の治療期間を要することも少なくなく、長期休業を余儀なくされてしまいます。
また、労災事故は正社員だけの話ではありません。アルバイト・パートタイマーであっても労災事故があれば、会社は対応を余儀なくされます。
今回の改正は努力義務ではありますが、高年齢者の雇用について「業務は単純作業だから」「うちは短時間だけの雇用だから」と対応を遅らせてしまうと、実際に労災事故が起こってしまった際、高年齢者の労災事故に対し会社が安全配慮義務を尽くしていたかが問題になるリスクがあります。
高年齢者を雇用している会社は一度、社内環境や体制を見直してみましょう。
虎ノ門法律経済事務所では経営者の皆様からの労務に関するご相談も随時受け付けております。お気軽にご相談ください。







