2026.04.03
港区が新たなカスハラ対策「安心対応サポート室」という試み

近年、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」といいます。)対策は、企業にとって大きな課題になっていますが、自治体でも区役所の窓口対応などでカスハラ対策が行われています。
1. 港区の抱えていた問題と改善策
東京都港区では、利用者による暴言・長時間の居座り・不当な要求などにより、業務へ支障が生じたり、職員にメンタルヘルスの不調や離職につながりうる負担が生じるなど、結果的に住民サービスの質を下げかねないという問題を抱えていました。
こうした問題に対し、港区では、カスハラ対策として、令和7年4月に「港区職員におけるハラスメント防止宣言」を行い、対応マニュアルや研修の整備を行ってきました。
そして、令和8年2月から区役所内に「安心対応サポート室」というカスハラ専門の相談・対応窓口を設けることを公表し、さらに一歩踏み込んだ対策が行われます。
2. 安心対応サポート室とは
このサポート室には、元警察官などトラブル対応の経験を持つ人材が常駐し、職員の依頼があれば窓口対応に同席します。怒号や威圧的言動で窓口業務が立ちゆかなくなりそうな場面では、状況を落ち着かせる役割も担い、現場への同行、職員からのカスハラ相談の受付、記録や対応方法の助言、研修やマニュアル見直しまで担当します。
さらに、港区は、弁護士資格者を任期付職員として採用し、職員からの相談に対する法律上の助言や、カスハラ事案に対する措置など解決に必要な対応を行うとしています。
また、運営は専門性を持つ民間事業者への委託とし、AIカメラなど新技術の活用も検討しているとのことです。
自治体として、個々の職員の「頑張り」に頼るのではなく、組織として守る仕組みを作ろうとしている点が特徴的です。

3. 企業へのヒント
企業の現場でも、カスハラ対策が社内マニュアルとポスター掲示で止まりがちなケースは少なくありません。港区のように、外部の専門家を含むサポート体制をつくり、従業員が一人で抱え込まない体制を準備する方法は民間にも応用しやすいヒントになりそうです。
最前線の従業員に現場判断で任せきりにすると、人もサービスも消耗してしまいます。自治体発のこのような取り組みをきっかけに、自社のカスハラ対策が仕組みとして機能しているか一度見直してみましょう。
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※本コラムは、港区の公表資料等に基づく一般的な紹介であり、個別の法的アドバイスではありません。







