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2026.06.09

2026年12月施行、改正公益通報者保護法のポイント紹介

2026年12月施行、改正公益通報者保護法のポイント紹介

1. 事案の概要

2025年12月19日、東京地裁は医療機器販売会社が元従業員に約4700万円の損害賠償を求めた訴えを棄却しました。

 

元従業員は、白内障用レンズの採用をめぐり、奈良県内の公立病院に勤めていた医師に個別の謝礼(賄賂)が支払われているとして、2022年に警察へ公益通報し、その後、医師は2023年に有罪判決を受け、会社側の関係者も罰金刑を受けたと報じられています。

 

会社は、公益通報をした元従業員が報道機関に営業秘密を漏らしたと主張しましたが、東京地裁は「報道機関に秘密情報を提供したことを認めるに足りる証拠はない」「持ち出しの主たる目的が犯罪の告発」として、会社側の請求を退けました。

医療機器販売会社が公益通報を行った元従業員に損害賠償を求めた図

 

2. 公益通報者保護法とは?

公益通報とは、労働者(退職者含む)や役員が、勤務している会社の不正行為を、不正の目的でなく、警察など行政機関など一定の通報先に通報することをいいます。

 

そして、公益通報をした人が、通報を理由として解雇などの不利益な取り扱いを受けないように通報者を保護する目的で定められた法律が公益通報者保護法です。

 

3. 公益通報者保護法の改正の概要

公益通報者保護法は、2025年6月4日に改正され、2026年12月1日から施行されます。改正の概要は以下のとおりです。

 

(1) 内部通報の体制整備の徹底と実効性の向上

・従事者指定義務違反に対する罰金

事業者(常時使用する労働者の数が300人超の事業者に限る)には、公益通報に対応する「従事者」を指定する従事者指定義務がありますが、これまで、この義務に不備があっても、行政対応は指導・助言・勧告が中心でした。

しかし、改正法では、勧告に従わない場合、命令され、命令違反には、刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)が新設されます。

 

・行政のチェック手段

改正法では、立入検査権限が新設され、報告懈怠・虚偽報告や検査拒否にも刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)が設けられます。

 

・社内制度の周知

従来は、公益通報の窓口を設けていたとしても、社内周知が万全でなく、使われない制度になりがちでした。

しかし、改正法では、現行法の体制整備義務の例示として、公益通報対応体制の周知義務が明示されます。

 

(2) 公益通報者の範囲拡大

これまで、公益通報者は労働者が中心であり、業務委託関係にあるフリーランスの扱いが論点になりやすい状況でした。

改正法では、事業者と業務委託関係にあるフリーランス、および業務委託関係終了後1年以内のフリーランスも公益通報者に追加され、通報を理由とする契約解除等の不利益取扱いが禁止されます。

※フリーランスの定義は、「特定委託事業者に係る取引の適正化に関する法律」第2条を引用して規定されます。

 

(3) 公益通報を阻害する要因への対処

・通報妨害行為の禁止

改正法では、正当な理由なく「公益通報をしない」合意を求めるなどの通報妨害行為を禁止し、違反してされた合意等は無効となる規定が新設されました。

 

・通報者探しの禁止

改正法では、正当な理由なく公益通報者を特定する目的の行為を禁止する規定が新設されました。

 

(4) 公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化

・通報後の解雇・懲戒に関する推認規定の新設

改正法では、通報後1年以内の解雇・懲戒は、公益通報を理由とするものと推定される規定が新設されました。民事訴訟上の立証責任の転換であり、事業者側が「公益通報を理由とした解雇・懲戒ではないこと」を立証しなければならないことになります。

 

・罰則の強化

改正法では、公益通報を理由に解雇・懲戒をした者に、刑事罰(6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、両罰)が新設され、法人は3,000万円以下の罰金となる規定が新設されました。

 

4. まとめ

従来の公益通報者保護法では通報者保護が不十分だと言われてきました。

しかし、今回の改正では、通報者を保護するための規定が多く新設されています。

 

通報者が出ないようにするのではなく、社内の通報制度を整備することで、不正を早期に止め、是正をすることで、企業の信頼を守ることに繋がります。

 

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