2026.08.24
スポットワークのドタキャン、大学生が賃金を求め提訴へ

1. スポットワーク需要の高まり
昨今、飲食業界などでは、人手不足の対策としていわゆるスキマバイトといったスポットワークの需要が高まっています。また、学生や家庭の事情などでフルタイムで働けない人たちにとっても、スマートフォン1つで空いた時間に働くことができるスポットワークは、多様なライフスタイルが広がる現代において、今後ますます利用者が増えることが考えられます。
2. スポットワークで生じる労働問題
しかし、こうした働き方が広がる一方で、生じる労働問題もあります。
スポットワーク大手アプリを利用し、飲食店の募集に応募した大学生が、マッチング後、前日になって一方的に飲食店側からキャンセルされたとして、未払い賃金の支払いを求めて提訴し、東京簡易裁判所は飲食店の運営会社に対して6,800円の支払いを命じました。
原告である学生は、一人暮らしの生活費をアルバイトの収入で賄う中、空いた時間にスポットワークを活用していましたが、店側からの直前キャンセルにより、代わりの仕事も見つからないまま収入だけが失われたという経験から、裁判を通じてスポットワークがよりよい仕組みになればと裁判に踏み切ったとのことです。
3. 労働契約成立の時期
この訴訟の焦点は、いつをもって労働契約が成立しているのかという点です。
2025年7月には厚生労働省が「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」において、使用者および労働者に向けたリーフレットの中で、面接などを挟まず先着順で決まる求人については、「応募した時点で労働契約が成立する」との考え方を示しています。
これを受け、スポットワーク大手アプリの「タイミー」は2025年9月から「申し込み完了時点で労働契約が成立する」と規約を改め、さらに企業側がキャンセルした場合は休業手当として当該労働契約上で予定されていた賃金及び交通費の支払いを受けられるという条項を追記しました。
なお、原告がキャンセルされたのは規約改定より前の時期です。
4. 使用者側のスポットワーク利用の注意点
人手が余った、予約数が少ないなどの理由で安易に直前キャンセルを繰り返してしまうと、少額とはいえ賃金請求や紛争が積み上がっていくリスクがあります。
スポットワークを活用している企業や店舗は、
・いつの時点で労働契約が成立するのか社内で明確にし、利用しているアプリの規約や厚生労働省の考え方と矛盾しないか確認
・やむを得ず店側がキャンセルする場合、休業手当相当の支払いをどのように扱うか社内ルールを明確化する
・シフトを担当する現場の責任者には直前キャンセルに関する意識を共有し、トラブル防止に努める
このような点に注意が必要です。
今回の事件は拡大していくスポットワーク活用について、企業や店側に警鐘を鳴らす一件といえます。スポットワークを人手不足対策として活用する場合、その土台となるルールも丁寧に押さえていきましょう。
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