2026.06.16
無資格の天井クレーン運転、事故発生前に書類送検 -就業制限のポイント-

1. 事案の概要
千葉・船橋労働基準監督署は、免許のない労働者に吊上げ荷重10.2トンの無線式天井クレーンを運転させたとして、千葉県白井市の製造業会社とその取締役を、労働安全衛生法61条違反の疑いで書類送検しました。
クレーンを運転した労働者は、吊上げ荷重5トン未満のクレーンの技能講習については修了していましたが、5トン以上の運転に必要な免許については取得していませんでした。この件で労災事故は発生していませんが、同労働基準監督署は重大な違反とみて送検したとされます。

※画像は参考です。
2. 労働安全衛生法61条とは?
今回、違反とされた労働安全衛生法61条は、就業制限について定められており、クレーン運転など政令で定める危険業務について、免許や技能講習など一定の資格がある人でなければ業務に就かせてはならない、とされており、資格のない人が当該業務を行うことは禁止されています。
労働安全衛生法第61条
1 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。
2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。
建設現場などでは、人手不足であっても、工期との関係で「今日は有資格者が不在だから、慣れている人に少しだけ運転してもらう」という判断をしてしまうかもしれません。しかし、労働安全衛生法61条は、事業者の就業制限に加え、資格のない者が業務を行うこと自体も禁止しており、無資格運転の行為自体が違反とされているため、今回の事件のように、事故が起きなかったとしても、重大な違反と判断されることがあります。
3. まとめ
今回はたまたま労災事故の発生がありませんでした。しかし、労災事故は命にかかわる重大な問題です。また、事故が起こると、休業補償に加え、現場の停止や納期遅延も発生し、損失が拡大するため、防止の必要性は高いといえます。
「工期が間に合わないから」「数時間だけなら運転させても大丈夫」といって無資格運転をさせてしまっていないか、今回の事例を機に、自社の現場の運用を見直してみましょう。
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