アイコン
労務お役立ち資料
アイコン
セミナー情報
アイコン
お問い合わせ
アイコン

2025.01.15

従業員がパワハラで訴えられたら?会社が取るべき対応・リスクについて解説!

従業員がパワハラで訴えられたら?会社が取るべき対応・リスクについて解説!
アイコンこの記事を書いた弁護士

塩谷 光宏

弁護士
虎ノ門法律経済事務所 世田谷支店長
弁護士の職務の本質は、依頼者の皆様が直面する問題に対し、法的な側面から今後の見通しを伝え、可能な限りの選択肢を提供することにあると考えています。直面する問題を乗り越え、依頼者の皆様が、それぞれの意思で新たな一歩を踏み出していただくための道標として、少しでもお力になることができれば幸いです。

1.パワハラ(パワーハラスメント)とは?

パワーハラスメント(以下「パワハラ」と略します。)とは、

男性アイコン

職場において行われる

①優越的な関係を背景とした言動であって、

②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③労働者の就業環境が害されるもの

と定義されています。

このパワハラの定義は、令和元年に、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」と略します。)が改正されて明確にされたものです。

労働施策総合推進法第30条の2第1項においては、パワハラの定義①②及び③のような事態が生じないよう、パワハラ防止のために雇用管理上必要な措置を講じる義務を事業主に課すことが定められています。

また、労働施策総合推進法第30条の2第3項に基づいて定められた、厚生労働大臣による「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(以下「労働施策推進指針」と略します。)では、パワハラの定義①②及び③の内容を深堀りした説明がされています。

具体的には、

①「優越的な関係を背景とした」言動とは、当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは、社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの

③「労働者の就業環境が害される」とは、当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること

とされています。

会社経営者の皆さんが、これら法律上の定義やその意味を暗記する必要はもちろんありません。

ただ、大きな社会の変革の中で醸成され、結果として構築されたルールは考え方の出発点になるものですので,法律に定められたパワハラの定義①②及び③を念頭に置いた職場環境作りや万が一のときの訴訟対応が必要となることは心に留め置いていただければと思います。

2.パワハラ行為の具体例

パワハラの形態には様々なものがありますが、その具体例をいくつか紹介します。

(1)侮辱する言葉を発すること

仕事中に、相手を侮辱する言葉をかけることはパワハラに該当します。

馬鹿野郎」「給料泥棒」等がこれにあたります。

このような侮辱的な言葉を他の従業員のいる場で行うことはさらに悪質なパワハラと認定される可能性が高いといえます。

(2)脅迫的な言動

ぶっ殺すぞ」等、相手を脅迫する言葉をかけることもパワハラに該当します。

また、壁やドア、机をたたいたりして大きな音を出して相手を威迫する行為も、相手を怖がらせている以上、パワハラに該当することになります。

(3)物理的な暴行

仕事中に上司が部下を殴ったりすることもパワハラ行為です。

(4)職場での地位を利用した強要

上司が部下に対し、職場上の優越的な地位を利用して、業務とは関係のない私用を命じたり、遂行不可能な職務を強要したりすることもパワハラに該当します。

また、例えば、異性の部下に対し、その地位を利用して肉体関係を迫り、これを断る部下に報復人事をちらつかせるようなこともパワハラです。

(5)業務と関係のない嫌がらせ

上司が部下に対して業務に関する命令を発することは、上司に与えられた適法な権限ですから、原則としてパワハラに該当することはありません。

しかしながら、業務と関係のない部下に対する嫌がらせ等の不当な目的に基づく業務命令は違法行為であり、パワハラに該当することになります。

一方で、複数の部下が気の弱い上司に寄ってたかって嫌がらせすることも、業務と関係のない嫌がらせとしてパワハラに該当しえます。

(6)実質的な解雇に該当する行為

従業員が自己都合退職する場合、企業には解雇予告期間の縛りはなく、解雇手当を支払う必要がありません。

そのため、企業は、従業員を自己都合退職によって企業から排除するために、パワハラを用いることがあります。

例えば、親の介護等で転勤を受け入れることが不可能な従業員に対して転勤を命じたりすることがこれに該当します。

以上、パワハラの一例を紹介しましたが、パワハラの該当性はケースバイケースですので、具体的個別的な判断が必要となります。

➡ハラスメントを行うモンスター社員の対応に関する記事はこちら

3.従業員がパワハラで訴えられた!企業がとるべき対応とは?

どのような手段でパワハラの責任を追及するかについては被害者の選択に委ねられています。

そのため、パワハラの被害者がいきなり訴訟を選択し、加害者とされる従業員に損害賠償請求の訴えを提起してくることも十分に考えられます。

このとき、企業としては、たとえ企業自身が訴えられていなかったとしても、決して安心するようなことがあってはなりません。

なぜなら、企業にはパワハラ防止の措置を講じることが法律上義務づけられており(労働施策総合推進法第30条の2第1項)、パワハラの問題が生じた場合には常に企業の責任が問われる可能性があるためです。

パワハラの被害者としては、従業員だけを訴えたような場合でも、企業の事後対応に問題があれば、企業を被告としてさらなる責任追及をすることを検討するかもしれません。

そのため、企業としては、企業自身が訴えられていなくとも、パワハラ防止の措置を講じる法律上の義務があることを肝に銘じ、必要な調査を遂行し、企業独自の社内調査・ヒアリング実施による事実確認及び事実認定、パワハラ被害者に対するアフターケア等に真摯に取り組まなくてはなりません。

事後対応次第では、被害者は企業への訴えを取り止めるなど、事態の収拾を図ることも期待できます。

なお、パワハラの被害者が選択した責任追及手段によって法的な主張・立証構造は変化し、その対応は変わってくるため、法律の専門家である弁護士による訴訟の見通しをふまえることはとても重要です。

会社経営者の皆さんは、従業員だけがパワハラで訴えられたような場合でも、速やかに弁護士に相談するようにしてください。

➡会社が取るべきパワハラ対応に関する記事はこちら

4.会社にとってのパワハラで訴えられるリスクとは?

パワハラの被害者が企業の責任を追及する手段としては、まず使用者責任としての損害賠償請求があります。

使用者責任とは、従業員が業務中に損害を発生させた場合、従業員を雇用している使用者たる企業も損害賠償責任を負うというものです(民法第715条1項)。

また、企業は、労働契約を締結している従業員に対して、労働契約の付随義務として職場環境配慮義務も負うとされ、この義務を怠ったとして債務不履行に基づく損害賠償責任を問われることも考えられます。

損害賠償の内容としては、パワハラを受けたことに伴う精神的苦痛いわゆる慰謝料のほか、パワハラによって体調等を崩したことに伴う治療費、消極損害として休職を余儀なくされたことに伴う休業損害、稼働能力減退にともなう将来にわたる逸失利益等が考えられます。

パワハラで訴えられることに伴う企業のリスクは金銭的な損害に限られません。

場合によっては、事態の収拾が見込めなくなり、企業の不祥事としてマスコミによって報道がなされたり、ネット上に企業の対応のまずさが流され拡散する等の危険に晒されることにもなってしまいます。

繰り返しになりますが、企業はパワハラ防止の措置を講じることが法律上義務づけられています(労働施策総合推進法第30条の2第1項)。

会社経営者の皆さんは、パワハラの問題が生じた場合には常に企業の責任が問われること、訴えられた場合のリスクが極めて高いことを強く認識していただき、これらのリスクを回避するための事前・事後の対策を恒常的に構築していかなければならない責務があることを意識しなければなりません。

5.パワハラに備えるための対処法(事業主の広報活動・啓発活動)

労働施策総合推進法は、企業に対してパワハラ防止措置を講じることを義務付けていますが、これとは別に、事業主に対してもパワハラ問題に関する責務を定めています。

労働施策総合推進法第30条の3第2項は「事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講じる前項の措置に協力するように努めなければならない。」と定めています。

この条文にいう「優越的言動問題」とは、先のパワハラの定義①を踏まえたものであり、優越的な関係を背景とした言動によって生じる様々な問題のことを意味しています。

具体的には、労働者における意欲の低下、健康状態の悪化、また、職場における職場環境の悪化、生産性の悪化等を指します。

これらの問題に対する労働者の関心と理解を深めるために、会社経営者の皆さんには、職場内における言動に対する注意を喚起したり、研修を行う等の必要な配慮を講じる努力義務が求められているのです。

また、労働施策総合推進法第30条の3第3項は「事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。」と定めています。

優越的言動に対する対処は、労働者だけではなく、企業そのものや役員に対しても関心と理解を深めてもらうことが必要であり、事業主が啓発活動に努めることがうたわれています。

これら事業主の責務は、努力義務として定められているにすぎませんが、事業主のパワハラ防止に向けた広報活動や啓発活動は、企業におけるパワハラ防止の措置を講じる法律上の義務(労働施策総合推進法第30条の2第1項)に直結するものです。

会社経営者の皆さんは、パワハラ問題に関する関心と理解を企業全体で共有することがパワハラ防止の第一歩であることを念頭に、必要な広報活動や啓発活動に邁進していただくよう心がけていただければと思います。

6.パワハラに備えるための対処法(ヒアリング)

パワハラを未然に防げるよう必要な対策を講じることは重要ですが、会社経営者の皆さんは、万が一企業内においてパワハラが発生してしまった場合のことも考えて対策をしておかなければなりません。

企業内におけるパワハラを早期に解決するためには、企業内における相談窓口を設けておくことが大切です。

外部の者ではなく、企業内の実情に精通している者がパワハラの解決にあたることは、パワハラの早期解決に資するといえるでしょう。

早期解決のためには、パワハラの疑いが生じたら、事実関係の調査を速やかに行う必要があります。

事実関係の調査においては、何より公平さが担保されなければなりません。

公平な事実調査のためには、加害者及び被害者、双方からしっかりした聴き取り(ヒアリング)をすることはもちろんですが、聴き取りをする人選にも配慮が必要です。

もし、聴き取りをする人物が、加害者か被害者かどちらかに近しい立場にあるとすれば、到底公平な調査を実施することは難しく、解決は遠のいてしまうでしょう。

また、加害者や被害者とは利害関係のない第三者への聴き取りも事実関係の確認にあたっては重要になります。

聴き取りの順序は、公平性の担保という観点のほか、関係者からの圧力等を防ぐ意味で、第三者から当事者へ、部下から上司へ、という流れを取ることが必要でしょう。

また、ヒアリングは、対象者から録音の申し出があれば許可しても構いません。

一方、企業の側においては、万が一、訴訟に発展したことも考え、証拠を残しておかなくてはなりません。

訴訟上の証拠という意味で、録音データは決して証拠価値が高いとはいえません。無断録音による音声データは場合によっては違法証拠ともなりかねないので、相談者の発言を無断録音することは絶対にしないようにしてください。

企業の側においては、聴き取った内容を議事録に残すかたちで書面化するのがよいでしょう。

書面を作成したら、ヒアリングの対象者に内容を確認してもらったうえで、議事録に印鑑を押印してもらってください。

ヒアリングにおいては、関係者の話をよく聴くことに徹しましょう。

ヒアリング後は、聴き取った内容を書面化し、事実関係を時系列順に整理する等して、関係者間の言い分の食い違い(争点)等を抽出することになります。

7.パワハラに備えるための対処法(証拠資料)

さらに、パワハラ行為に関する真偽を判断するために、必要な証拠資料の収集にも着手することになります。

パワハラの実態解明にあたってのヒアリングに応じるよう求めることは業務上の指示として有効ですが、ヒアリングに応じないような場合には、応じなかった事実をもって実態解明を進めていかなくてはなりません。

ただし、ヒアリングが十分でなくとも、文書・メール・現場録画等の一定程度の信頼性の高い証拠によって、事実を認定することも可能になる場合があります。

事実認定にあたっては、専門的な知識や経験が必要となるケースもありますので、弁護士等の外部の専門家にアドバイスを求めたり、依頼をするのがよいでしょう。

企業法務に強い弁護士は、法的な観点からいかなる事実についての聴き取りが重要かを熟知していますから、不十分だったヒアリングをやり直し、重要な事実や虚偽内容を選別することで、実態解明に大きく資する役割を果たすことができます。

パワハラ発生における事実確認・事実認定には高度な専門的な知識や経験が必要であることをふまえ、早期の段階で企業法務に強い弁護士に依頼することも検討してみてください。

8.パワハラで訴えられた従業員への対処法とは

パワハラの問題が生じた場合、早期に企業内で解決を図ることがもっとも望ましいのはいうまでもありません。

しかしながら、企業組織内の仕組みだけでは解決に至らない場合、納得いかない被害者が上司にあたる従業員等を被告として、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起することはもはや避けられないでしょう。

もっとも、パワハラで従業員が訴えられたからといって、訴えられた従業員のパワハラが即座に存在したと認定されるわけではありません。

したがって、企業が、訴えられたこと自体をもって、パワハラで訴えられた従業員を即座に解雇するようなことはできないことになります。

真にパワハラの事実が存在したのか否かについては、訴訟当事者の言い分や存在する客観的な証拠等から裁判所が事実認定を行うことになるので、大まかなパワハラ解決の流れは、企業内解決におけるものと同様です。

ただし、裁判制度においては、企業内の独自の仕組みとは違う訴訟上のルールが存在します。

企業にはパワハラ防止の措置を講じることが法律上義務づけられており(労働施策総合推進法第30条の2第1項)、パワハラの問題が生じた場合には常に企業の責任が問われる可能性がありますから、パワハラで従業員が訴えられたような場合でも、訴訟上のルールをふまえた対策を講じていかなくてはなりません。

会社経営者の皆さんは、パワハラで従業員が訴えられ、企業が訴えられたわけではない場合も、企業法務に強い弁護士に早期に相談するようにしてください。

9.突然訴えられた!従業員がとるべき対応

先にも記しましたが、訴えられたからといって、訴えられた従業員のパワハラ行為が当然に存在するものと決定してしまうわけではありません。

訴えがなされた場合、裁判官が、当事者の主張・立証をふまえ、事実を確認・評価したうえで事実認定を行い、さらに法律上の請求についてその要件該当性を検討し、パワハラ被害者の損害賠償請求が認められるのか否か、認められるとしたら損害額としていくら認められるのかを判断することになります。

しかしながら、パワハラで訴えられたにもかかわらず、送付された訴状に対して何らの反論もせずにこれを放置したりすると、訴えられた側(被告)が訴えた側(原告)の請求をすべて認めたものと取り扱われてしまいます。

訴えを起こされたということは、少なくとも訴えを起こした原告が、パワハラ問題の解決に納得がいかず、裁判所の判断を仰がざるを得ない深刻な状況にあったといえそうです。

訴状がご自身に送付されてきた場合、訴えられた従業員の方は、深刻な事態であることを受け止め、これを放置することはせず、必ず弁護士に相談する等、必要な対応を迅速にとるようにしてください。

率直なところ、パワハラの事実認定においては、業務上必要な指導・教育であったか否か等、パワハラに該当するか否かを判断することが極めて難しいケースは存在します。

パワハラで訴えられた従業員の皆さんも、相談した弁護士の助けを受けたうえで、自身が直面した事実に今一度向き合い、原告側の主張の中で、争いのない事実については認め、争いのある事実については必要な証拠を収集・提出し、事実の解明に真摯に取り組むことを忘れないようにしてください。

10.パワハラ対応でNGな対処法とは?

パワハラの疑いが生じた場合、企業が組織として、また従業員が個人として、いずれにおいてもこれを放置することは許されません。

企業はパワハラ防止の措置を講じる法律上の義務が存在しています。

もし、パワハラ被害者の声に耳を傾けることもなく、見て見ぬふりをすれば、企業として法律上の責任を問われるだけでなく、報道やSNS等で対応のまずさが指摘され、事実上も手痛いダメージを受けてしまう危険があります。

従業員個人においても、パワハラ加害者となる疑いが浮上した場合、これを無視したり、また事実をもみ消すような行為に走ることはマイナスでしかなく、企業内の懲戒だけにとどまらず、訴訟上の争いに発展する等の事態に見舞われてしまうでしょう。

そればかりか、パワハラの実態解明を放置することで、パワハラの当事者に対する二次被害を招いたり、企業に勤める従業員の労働意欲や業務効率の低下等の悪影響を及ぼし、企業全体の健全性を揺るがす事態に陥ってしまうかもしれません。

会社経営者の皆さんは、パワハラが行われたとする疑いがある場合、事実確認・事実認定のために速やかに実態解明調査に取り組むことを心掛けてください。

仮に、実態解明調査に速やかに着手したとしても、調査手続が公平性を欠いているような場合は、パワハラ対応として極めてNGな対処法と言わざるを得ません。

被害者と加害者いずれかの意見だけを聴いたり、いずれかの意見に肩入れしたりするのはもちろんのこと、企業のパワハラ相談窓口の人選がパワハラ当事者の一方に近い立場の者で偏って構成されるようなことがあれば、ヒアリング自体に恣意が介在し、結論ありきのヒアリングが行われたと誤解され、その後の事実確認・事実認定の正当性を失わせてしまいます。

さらに、ヒアリングを加害者と疑われる当事者から始めることで、事実確認のための調査が開始されたことを知った加害者が目撃者に不当な圧力をかけたり、ヒアリングの事実自体が漏れてしまってパワハラ当事者の名誉やプライバシー等が侵害されるような事態が生じるようなことも防がねばなりません。

ヒアリングは、基本的には、

部下(被害者) ➡ 第三者、上司(加害者)

という流れで行うのがよいでしょう。

また、対応マニュアルを整備のうえ、これを確実に遂行し、パワハラ当事者のプライバシー等の保護措置を徹底することも心掛けましょう。

11.弁護士によるパワハラ対応

平成元年、職場におけるセクハラに対する損害賠償を求める訴えが福岡地裁に提起され、平成4年、裁判所は、セクハラ行為者及び企業の責任を認める判決を下しました(福岡地判平成4年4月16日・判例タイムズ783号60頁)。

この裁判は、日本で初めてセクハラを認定した裁判として世間の注目を集め、その後のハラスメントへの問題意識が一気に高まるきっかけともなりました。

その後、ハラスメント撲滅の気運の高まりを受け、平成9年に男女雇用機会均等法の改正により、事業主に対するセクハラ防止配慮義務が規定され、その後、この義務は平成18年に「配慮義務」から「措置義務」へと強化されました。

また、一般に「パワハラ防止法」といわれる労働施策総合推進法は、もともと雇用対策法という名称でしたが、平成30年に現在の名称になるタイミングで、事業主や企業に対する責務を新たに規定し、さらに翌令和元年には企業に対するパワハラ防止措置の義務化がなされました。

このように、ハラスメントに対する問題意識の高まりは、世論を動かし、さらには立法や司法をも動かし、大きな潮流となって、企業全体のより良い職場環境作りを指向するルールが形成されるようになっています。

このような潮流が単なる社会情勢にとどまらず、法律としてルール化されていることからみても、法律の知識にとどまらず、解釈・運用等の面で、法律の専門化がハラスメント対策についての一翼を担っていることは疑う余地がないでしょう。

これまでみてきたとおり、パワハラの定義や該当性、パワハラの企業内対処法、パワハラの訴えへの対応方法などについて、法律の専門家である弁護士のアドバイスや関与は、パワハラ対応における会社経営の大きな一助になっている現実が存在します。

会社経営者の皆様におかれましても、弁護士によるパワハラ対応が、パワハラ問題の解決にとどまらず、健全な会社経営に資することもご理解いただけるものと思われます。

12.まずは弁護士にご相談ください

虎ノ門法律経済事務所は、東京本店のほかに30を超える支店を有し、法の支配を全国に及ぼすべく、90名を超える弁護士が多岐にわたる知識と経験を蓄積・共有し、日夜研鑽を積んでいます。

労働問題についても、著名な大学教授や厚生労働省に勤務経験を有する者などエキスパートが弁護士として登録・所属し、在籍する多くの弁護士がそのノウハウを弁護士業務に生かして活躍しています。

会社経営者の皆様は、パワハラ問題に関して少しでも気になる悩み事があれば、解決実績も豊富な虎ノ門法律経済事務所の弁護士へぜひご相談ください。

アイコンこの記事を書いた弁護士

塩谷 光宏

弁護士
虎ノ門法律経済事務所 世田谷支店長
弁護士の職務の本質は、依頼者の皆様が直面する問題に対し、法的な側面から今後の見通しを伝え、可能な限りの選択肢を提供することにあると考えています。直面する問題を乗り越え、依頼者の皆様が、それぞれの意思で新たな一歩を踏み出していただくための道標として、少しでもお力になることができれば幸いです。
この記事をシェアする X フェイスブック line
関連記事
Category
業種別カテゴリー
気になる記事のカテゴリーをクリックしてください
企業法務 虎の巻
About
虎ノ門法律経済事務所がお届けする
経営者のための企業法務Webマガジン
弁護士法人TLEO虎ノ門法律経済事務所による経営者のための企業労務に関する情報発信メディアです。
経営者からいただく相談のなかで多いものの一つに人事雇用問題が挙げられます。
本サイトでは人事労務に関するコラムや当事務所での解決事例だけでなく、労務お役立ち資料などのダウンロードコンテンツも準備させていただいております。
また記事の内容も様々な業種ごと、テーマごとに取り揃えております。
未払い賃金、解雇・退職勧奨、労働災害など労務トラブルで会社側が求められる対応にはスピードと正確性が求められます。
会社を守るために重要になる「企業労務」のお役立ち情報を配信中です。
メールマガジン登録
企業労務に詳しい弁護士が、各種お役立ち資料やセミナー情報、最新の法務ニュースについてお届けします。
ご相談・お問い合わせ
企業法務に関するお悩みや法律に関するご相談、弊所との顧問契約に関するご相談(無料)など、お気軽にお問い合わせください。